「青天の霹靂」は、誰もが驚くような旨さを目指して誕生したお米。青森の実力のすべてがつまっています。青森の深い森の、水の、土の、そして人の力。悠久の自然がお米の旨さをささえ、米づくりの経験と情熱がこの新品種を生み出しました。全国の人にこの旨さに驚いて、青森に驚いていただきたい。いわば青森からみなさんへお届けする手紙です。
「青」は青森の青、「天」は遥かに広がる北の空。「霹靂」は稲妻。稲に寄りそい、米を実らせます。晴れわたった空に、突如として現れる稲妻のような、鮮烈な存在になりたいと考え、名付けました。米袋などの図案は、空がパカッと割れて「青天の霹靂」が飛び出してきた様子を表現しました。白い米の旨さが天の四隅にのびやかに広がっていきます。
「青天の霹靂」は粒がやや大きめのしっかりしたお米です。ほどよいツヤと、やわらかな白さ。炊き上がりからしばらく保温していても、つぶれることのない適度なかたさがあります。食べごたえがあって、しかも、重すぎない。粘りとキレのバランスがいい。上品な甘みの残る味わいです。
食材豊かな青森で誕生した「青天の霹靂」は海のもの、山のもの、里のもの、どんな食材とも相性がよく、おかずを選ばない頼もしさがあります。旬の焼き魚、新鮮な魚介類、季節の野菜、肉。合わせる料理を考えるだけできっと楽しくなります。ごはんのおいしさ、楽しさを実感していただけるお米です。
青森県の米づくりは、低温との闘いでもあります。私たちは、この問題を克服しながら、ふっくらとして適度な粘りと光沢のあるおいしいお米を目指してきました。一つの品種を開発するには交配してから十年かかります。でも、交配に使った親、そのまた親も永年の改良によってできたもの。「青天の霹靂」の開発までには気が遠くなるような改良の積み重ねがありました。青森で開発された品種の中で、一番おいしい品種だと思います。多くの方にたくさん食べていただきたいです。
青森県産業技術センター農林総合研究所
水稲品種開発部部長 須藤 充
(現 藤坂稲作部部長)
「青天の霹靂」の種子を作る仕事をしています。最初に新品種の種子を受け取った時、苗にするのに絶対に失敗できないなと思いました。苗ができなかったら田んぼに植えられないですから。田植え後は、異品種の混入を防ぐため植えたところ以外から生えた稲の抜き取りを慎重に行いました。生育に合わせた水管理と追肥の時期や量にも気を使いました。毎日、田んぼに行って、だんだん大きくなってくると、ほんとにめんこいんですよ。稲に向かって「うまく育ってるねー」と声をかけてました。良い種子が採れましたので作付けする農家さんには、ぜひぜひおいしい、旨い米を作ってもらいたいなと思っています。
平賀水稲採種組合役員
藤田 道成
おいしさを引き出すために、土の健康診断をして、しっかり土づくりをやっていきたい。青森は寒冷地なので虫の発生も少なく、またいもち病に強い品種ですので、農薬を減らすこともできました。安全な米づくりを徹底して、安心して食べられるおいしいお米をみなさんにお届けします。冷めてもおいしいのでおにぎりにしてピクニックに行くなど、おすすめです。農家の人たちは自分がおいしいと思う米を、多くの人に食べてほしいという思いで作っています。青森の生真面目な農家が一所懸命作ったお米、ぜひ食べてください。
中南地域県民局地域農林水産部
農業普及振興室主幹 普及指導員 工藤 龍一
「青天の霹靂」は「ひとめぼれ」などの
良食味性を受け継いでいます。
「青天の霹靂」は「ひとめぼれ」などの良食味性を受け継いでいます。
稲の生育期間である5月から10月、青森県の日照時間は東北で最も長く、豊富な太陽の光が健康なお米を育てています。また冷涼な気候で病害虫の発生が少なく農薬の使用を抑えることもできています。こうした自然の恵みのなかで青森は環境への調和を目指した米づくりに取り組んでいます。農薬や化学肥料の低減だけでなく「田んぼの生き物調査」など人にも環境にもやさしい農業のために様々な活動を続けています。さらに県内で生産される米の安心・安全を確認するため、玄米の残留農薬の検査や放射性物質検査を実施しており、安全性の確保に努めています。
みなさん、真っ青な空から突然、稲妻が降ってきたと思ってください。地面に落ちた稲妻のあとから育ったのが、「青天の霹靂」。このお米は驚きますよ。 青い空、八甲田や白神山地の緑、そこに降る雨、清冽な水、そして米のつくり手たち。青森の正直。生真面目にコツコツとものごとに取り組む青森の気質。それが、このお米を生み出しました。私どもは、青森ならではのお米を生み出したいと考えました。県の独自性を追求する品種開発に努め、青森を体現するお米を作りたかったのです。青森には素晴らしい食材がたくさんあります。そのおいしいものと食べて良さを引き出す。これが青森の米の旨さです。「青天の霹靂」は、さっぱりしているのに、甘みと旨みが後をひく。いろんなおかずとの相性が素晴らしい。青森米の実力が、ほんとにレベル高く表れていると感じました。ぜひ召し上がってみてください。こんなお米が食べたかったと言っていただけると思います。
青森の米たち
青森には「青天の霹靂」のほかにも、いくつかの米ブランドがあります。県民に長く愛されてきた「つがるロマン」と「まっしぐら」です。「つがるロマン」は、米づくりの里、津軽を発祥の地としたお米。つくり手の情熱とロマンが込められています。「まっしぐら」は、青森のお米のおいしさと品質の追求にまっしぐらに、生真面目に取り組んでいく気持ちを込めた名前です。
青森の米の歴史
稲作は、南からやってきたもの。時代が進むまで北の土地では行われてなかったと思われてきました。ところが近年になり津軽平野の田舎館村の「垂柳遺跡」、弘前市の「砂沢遺跡」から弥生時代の水田跡や用水遺跡、炭化米が見つかったのです。田舎館村・高樋の弥生時代中期の遺跡で見つかった炭化米が国内最古の熱帯ジャポニカ米であることもわかりました。青森県は昔から米と関わりのある地だったのです。とはいえ青森での稲作が楽な仕事だったわけではありません。冷害に悩まされ病害虫と闘い品種改良を続け、おいしい米を作るために努力し情熱を注いできました。新しい品種を開発してもその味に満足することなく、よりおいしさを求め続けてきたのです。
青森の森と土づくり
ブナの原生林が残る世界遺産・白神山地や、八甲田山をはじめ、青森には深い森が多く、たくさん雪が降ります。雪解け水は森が育んだ土壌に蓄えられ、清冽な地下水となり、里の田んぼを潤します。それは人間が作ることのできない、自然の恵みです。恵まれた自然環境を最大限に活かすために人間ができることは、よりよい土を作ること。青森は日本一健康な土づくり運動に取り組んできました。土壌診断を行い、堆肥を施し、土壌を改良する。深耕や輪作などを組み合わせて、土を管理する。当たり前のことを生真面目に行う。そのことの大切さを私たちは知っています。
青森の食
日本海、太平洋、津軽海峡に囲まれ、陸奥湾もある青森。寒流と暖流、穏やかな内海という、他の県では考えられない恵まれた漁場から四季を通じて旬の新鮮な魚介類が水揚げされます。大間の鮪をはじめ天然平目、雲丹、烏賊、鮭、帆立、その種類をあげ始めたら、きりがありません。平野の田んぼでは米。畑からは、長芋、牛蒡、大蒜。くだものは林檎だけでなくカシスや西洋なしも生産。肉類はあおもり和牛、地鶏・青森シャモロックなどが特産品です。青森は鎖国しても生きていける。そう言う県民もいます。それは農産物、畜産物、水産物をバランスよく生産しているから。まさにおかずの宝庫の地です。
「青森のうまいものたち」サイト
青森の人々
太宰治、寺山修司、羽仁もと子。青森県出身の文学者や思想家。美術の世界では、棟方志功、奈良美智。写真家では、ピュリツァー賞を受賞した沢田教一。こうして並べてみると共通した気質を感じます。それは青森の「じょっぱり」「あどはだり」な「ゆるぐねぇ=簡単ではない」気質です。強情ぱりから来たという「じょっぱり」は、誰に止められても信じたことをやり通す強さをいう言葉。女性初の記者となった羽仁もと子、戦場カメラマンになるため自費でベトナム戦争取材に行った沢田教一も相当「じょっぱり」ですね。「あどはだり」は、「もっと」と強くねだること。額を板にくっつけんばかりの棟方志功の制作風景からは、もっともっとと「あどはだり」した声が聞こえてきそうです。また、青森県人には、突き抜けた明るさ、元気さもあります。お祭りに夢中になるところにその気質が表れています。寺山修司や太宰治が長く愛されているのも、愛嬌を感じる面があるからかもしれません。